高血圧について
血圧が正常値を超える状態を高血圧と言います。
高血圧は2種類に分けられ、原因が分からない本態性高血圧（一次性高血圧）と、何かしらの病気によって起こる二次性高血圧があります。現在、国内で高血圧の患者様は約1,000万人いると言われています。 高血圧によって血管に負担がかかるため、動脈硬化に繋がり、心筋梗塞や心不全、脳卒中、慢性腎臓病などを発症しやすくなります。
また、高血圧は自覚症状が少ないことがほとんどであるため、健康診断などで異常が見つかった場合、早めに専門医に相談しましょう。
高血圧の原因
①本態性高血圧（一次性高血圧）
明確な原因が不明な高血圧であり、高血圧の患者様の9割程度が該当します。
加齢や遺伝、生活習慣病などの影響を受けると言われており、主な原因として次のようなものが考えられています。
- ストレス
- 運動不足
- 肥満
- 睡眠不足
- 過労
- 喫煙
- 遺伝
- 塩分の過剰摂取
②二次性高血圧
何かしらの病気によって起こる高血圧です。
原因疾患の治療をはじめに行い、血圧を目標値まで下げます。
原因疾患としては、次のようなものが挙げられます。
薬剤性高血圧
お薬の副作用によって起こる高血圧です。
腎血管性高血圧
動脈硬化によって腎臓の動脈が狭窄し、血圧が上がる病気です。
腎実質性高血圧
腎機能が弱まって体内に塩分が蓄積することで、血圧が上がる病気です。
原発性アルドステロン症
腎臓の上に位置する副腎に良性腫瘍が発生することで、血圧を上昇させる「アルドステロン」というホルモンが過剰に分泌される病気です。
褐色細胞腫
副腎に良性腫瘍ができることで、血圧を上昇させる「カテコラミン」というホルモンが過剰に分泌される病気です。
クッシング症候群
副腎に良性腫瘍ができることで、血圧を上昇させる「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌される病気です。
※上記のほか、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺ホルモン・副甲状腺ホルモンの異常などによって二次性高血圧が起こる場合があります。
白衣性高血圧
血圧を測定する場合、ご自宅よりも病院で測る方が高くなるという特徴があります。
これは病院という慣れない環境が精神的なストレスを引き起こし、交感神経を刺激するためです。
血圧は精神状態や気温、測るタイミングなど様々な要因で変化します。一度の測定で一喜一憂することなく、継続的に測定し、ご自身の平均値を把握しておくことが重要です。
※二次性高血圧の患者様に対しては、血圧測定のほか、原因となる疾患を発症していないか調べるため、血液検査やエコー検査、レントゲン検査も行います。
治療
本態性高血圧と二次性高血圧で治療方法に違いがあります。
はじめに診察と検査を実施して、高血圧の原因を特定し、運動療法・食事療法などによる生活習慣の見直しと、薬物療法を行います。生活習慣の見直しを続けてもなかなか数値が良くならない場合、降圧剤により血圧を適正値に保ちます。
高血圧の目標値
高血圧の目標値は、基礎疾患の有無や年齢によって変わります。
- 後期高齢者（75歳以上）の方：135/85mmHg
- 若年層・中年・前期高齢者（65歳～74歳）の方：125/75mmHg
- 冠動脈疾患や脳血管疾患の患者様：125/75mmHg
- 慢性腎臓病（CKD）の患者様：125/75mmHg
- 糖尿病の患者様：125/75mmHg
生活習慣の見直し
食習慣の見直し
塩分だけでなく、脂肪分やコレステロールも摂り過ぎないよう、食事の内容を見直しましょう。
適度な運動の習慣化
ウォーキングなどの軽い有酸素運動を継続的に行い、肥満の解消・予防を図りましょう。
タバコを吸う方は禁煙に取り組みましょう
喫煙によって血管が収縮し、血圧が上がります。
そのため、高血圧と診断された方は、禁煙することが大切です。