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下腹部の痛み

下腹部の痛み「下腹部がズキズキ痛む…」
「食後や排便後に下腹部が不快に感じる…」
「痛みが断続的に続いている…」

こうした下腹部の痛みは、日常生活の中で誰もが一度は経験する症状ですが、放置すると重篤な疾患が隠れている可能性があります。下腹部の痛みは、消化器系、泌尿器系、婦人科系の疾患と関連していることが多いため、早めに原因を特定することが重要です。

ここでは、下腹部の痛みの原因、診断方法、治療法について解説します。

目次

下腹部の痛みとは?

下腹部は、消化器系や泌尿器系、女性では婦人科系の臓器が集まる部位です。
このため、痛みの原因は多岐にわたり、症状や痛みの部位によって考えられる疾患が異なります。

症状の特徴

  • 痛みの強さ:鈍い痛みから鋭い痛みまでさまざまです。
  • 痛みの場所:右側、左側、中央など部位によって関連する臓器が異なります。
  • 発生タイミング:食後、排便後、月経時など状況によって変化します。

主な原因

消化器系の疾患

大腸憩室炎

大腸の壁にできた憩室が炎症を起こし、左下腹部に痛みが現れることが多い。

過敏性腸症候群(IBS)

ストレスや生活習慣の乱れにより、下腹部の痛みや不快感が繰り返し発生します。

腸閉塞

腸管が詰まり、ガスや便が通過できなくなることで、激しい痛みを伴うことがあります。
手術後の腸の癒着による場合や、ヘルニアによる場合、大腸がんによる場合などがあります。

便秘

便秘のため腹痛をきたすことは少なくありません。硬い便が詰まり大腸閉塞を起こし大腸に穴が開き緊急手術が必要となる場合もあります。

虚血性大腸炎

激しい腹痛、下痢、血便が特徴です。高齢者や高血圧、糖尿病、腎臓病、動脈硬化、などの基礎疾患を持つ人に発症しやすいと言われています。また、便秘や排便後に腸壁が収縮することで血流障害が起こる場合もあり、若年者でも発症することがあります。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の 炎症性疾患 です。特徴的な症状としては、下痢、血便、腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。原因は明らかになっていませんが、腸内細菌の関与や免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられています。

クローン病

主に小腸や大腸などの粘膜に炎症が起きることにより粘膜にびらん(粘膜がただれている状態)や潰瘍(粘膜がえぐられている状態)ができる原因不明の慢性の病気です。主な症状には、腹痛、下痢や血便、発熱、肛門付近の痛みや腫れ、体重減少などがあります。

泌尿器系の疾患

尿路結石

結石が尿管を塞ぎ、下腹部から側腹部にかけて激痛が起こります。血尿を伴うこともあります。

膀胱炎

頻尿、残尿感、排尿時の痛み、下腹部の鈍痛が特徴的です。

婦人科系の疾患(女性の場合)

卵巣嚢腫・腫瘍

腫瘍が下腹部の圧迫感や痛みを引き起こすことがあります。捻じれると突然の強い痛みをきたします。

月経痛(生理痛)

子宮内膜の収縮による痛みが下腹部に感じられます。

骨盤内炎症性疾患(PID)

感染が原因で骨盤内に炎症が起こり、下腹部の痛みを伴う。

卵巣出血

20-30歳代の女性に多く、排卵や性交などの原因で卵巣から出血し、強い下腹部痛で発症します。

異所性妊娠破裂

異所性妊娠(子宮外妊娠)が破裂すると、腹腔内に大量出血を起こし、出血性ショックや生命の危険な状態に陥る可能性があります。下腹部の激しい痛みが起こり、出血が多い時はふらつきや立ち眩みなどの症状が出ることもあります。

その他の原因

腹膜炎

腹腔内の感染や炎症が原因で、広範囲の腹痛が現れることがあります。

ヘルニア

腹壁が弱くなり、腸や脂肪が突出することで痛みを引き起こす場合があります。

注意が必要な症状

以下の症状が下腹部の痛みに伴う場合、すぐに医療機関を受診することをお勧めします。

  • 強い痛みが急に発生した場合。
  • 高熱を伴う
  • 血便や黒い便が見られる。
  • 嘔吐や便秘が続く。
  • 排尿や月経に異常がある場合。

診断方法

下腹部の痛みの原因を特定するためには、詳細な検査が必要です。
当院では以下のプロセスで診断を行います。

問診

症状の出現タイミング、痛みの場所、生活習慣について詳しく伺います。

身体診察

お腹を触診して、痛みの部位や腫れの有無を確認します。

画像診断

腹部エコー(超音波)検査やCT検査を用いて、腸や泌尿器系、婦人科系の状態を評価します。特に腹部エコーは診察室内で診察時に行うことが可能で、速やかな診断にとても役に立ちます。すぐに的確なエコー検査を行ってくれるクリニックを受診することで速やかな診断・治療を受けることができます。

内視鏡検査(大腸カメラ)

消化器系の疾患が疑われる場合、大腸カメラ検査で腸内を直接観察し、ポリープや炎症、腫瘍の有無を確認します。

血液・尿検査

感染や炎症の有無、腎機能や貧血の有無を確認します。

大腸カメラ検査が有効な理由

大腸カメラ検査が有効な理由下腹部の痛みがある場合、特に大腸がんが疑われる場合には、大腸カメラ検査が非常に効果的です。

正確な診断

ポリープや炎症性疾患、大腸憩室症を直接確認できます。

早期発見が可能

大腸がんなどの重大な疾患を初期段階で発見できます。

その場で治療が可能

内視鏡検査中にポリープを切除したり、出血箇所を止血することができます。

当院では、患者様の負担を軽減するため、苦痛の少ない鎮静下での内視鏡検査を提供しています。

治療方法

下腹部の痛みの治療は、原因に応じて行われます。

薬物療法

  • 消化器系疾患には、整腸剤や抗炎症薬を処方します。
  • 泌尿器系疾患には、抗生物質や鎮痛剤を使用します。
  • 婦人科系疾患の場合、ホルモン療法が用いられることもあります。

生活習慣の改善

  • 消化に良い食事を心がけ、ストレスを軽減する生活を推奨します。

外科的治療

  • 腸閉塞や腫瘍など、外科的対応が必要な場合には専門医と連携し、適切な治療を行います。

下腹部の痛みを予防するには

下腹部の痛みを予防するには

バランスの良い食事

食物繊維を適切に摂取し、腸内環境を整えましょう。

定期的な健康診断

症状がなくても、定期的に内視鏡検査を受けることで、疾患の早期発見が可能です。

適度な運動

腸の動きを活性化するため、ウォーキングやストレッチを習慣にしましょう。

ストレス管理

ストレスが腸や泌尿器系に影響を与えることがあるため、リラクゼーションを取り入れましょう。

下腹部の痛みでお悩みの方へ

下腹部の痛みは軽視せず、早めに当院での診断を受けることが健康を守る第一歩です。
下腹部の痛みについての診療をご希望の方は、ぜひ当院にご相談ください。
健康な毎日のために、適切なケアを始めましょう!