「上腹部に強い痛みがある…」「食欲が落ちて体重が減ってきた…」「肌や目が黄色くなっている…」
これらは膵炎や膵がんに関連する可能性があります。
膵臓は、消化酵素やホルモン(インスリンなど)を分泌する重要な臓器ですが、その疾患は初期症状が目立たないことが多く、注意が必要です。
以下では、膵炎と膵がんの症状、原因、治療法について詳しく解説します。
目次
膵炎とは?
膵炎は、膵臓が自ら分泌する消化酵素によって膵臓自体が消化され、炎症を引き起こす疾患です。
急性と慢性に分かれ、それぞれ原因や症状が異なります。
急性膵炎
突然、激しい腹痛や吐き気が現れる病態。
適切な治療を行えば多くの場合、数日〜数週間で回復します。
慢性膵炎
繰り返す膵臓の炎症により、徐々に膵臓の機能が低下する状態。
長期間放置すると膵がんのリスクが高まることがあります。
膵炎の主な症状
- 上腹部の激しい痛み(特に急性膵炎の場合)
- 背中に放散するような鈍い痛み
- 吐き気、嘔吐
- 食欲不振
- 下痢や脂っぽい便(慢性膵炎の場合)
膵炎の原因
急性膵炎
- 過度な飲酒
- 胆石
- 高脂血症
- 特定の薬剤(ステロイドや抗生物質など)
慢性膵炎
- 長期間の過度な飲酒
- 遺伝的要因
- 膵管の狭窄や閉塞
膵がんとは?
膵がんは、膵臓に発生する悪性腫瘍です。
特に膵管がん(膵管にできる腺がん)が多く、進行が早く、発見が遅れることが多い疾患です。
膵がんの特徴
初期症状がほとんどないため、進行してから見つかるケースが多いです。さらに、周囲の臓器(肝臓、十二指腸・主要な血管など)に浸潤することがあります。
膵がんの主な症状
- 上腹部や背中の痛み
- 黄疸(肌や目が黄色くなる)
- 体重減少、食欲不振
- 糖尿病の突然の悪化や新たな発症
- 便が白っぽく、尿が濃い色になる
膵がんの原因
- 喫煙:膵がん発症のリスクを大きく高めます。
- 慢性膵炎:長期間の膵臓の炎症がリスク要因。
- 肥満や糖尿病:生活習慣病が関与。
- 家族歴:遺伝的要因もリスクに含まれます。
診断方法
膵炎や膵がんを診断するために以下の検査が行われます
血液検査
膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)の上昇を確認します。
膵がんでは腫瘍マーカー(CA19-9、CEA)が高値を示すことがあります。
画像検査
- 超音波検査:膵臓にできたがんによる腫瘤を発見できます。膵がんにより引き起こされた膵管の拡張が膵がん発見のきっかけになります。
膵癌ができやすい人(膵のう胞、膵管拡張)などを発見した場合、定期的な検査を行うことで膵癌の早期診断につなげることが可能になります。糖尿病があると膵がんができやすくなるため、定期的なエコー検査が勧められます。 - CT/MRI検査:膵臓の詳細な状態を把握します。
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP):膵管の異常を確認します。
- 内視鏡超音波検査(EUS):膵臓を最も詳細に観察でき、腫瘍の早期発見に役立ちます。
- 生検:腫瘍が確認された場合、組織を採取してがんの診断を行います。
治療方法
膵炎の治療
急性膵炎
- 絶飲食による膵臓の安静。
- 点滴での栄養補給と痛みの管理。
- 胆石が原因の場合、外科的治療(胆嚢摘出など)。
慢性膵炎
- 食事療法(低脂肪食、アルコール禁止)。
- 膵酵素補充療法や痛みを抑える薬物療法。
膵がんの治療
外科的治療
手術でがんを切除(早期発見の場合)。膵頭十二指腸切除術が代表的です。
化学療法
手術が難しい場合や再発防止のために抗がん剤を使用します。
放射線療法
痛みの緩和や進行抑制のために併用されることがあります。
緩和ケア
痛みや黄疸などの症状を緩和し、生活の質を向上させます。
膵臓の健康を守るために
大切なポイント
- 適度な飲酒量を守る:過度な飲酒は膵炎や膵がんの大きなリスク要因です。
- 禁煙:喫煙は膵がんの発症リスクを大幅に高めます。
- 健康的な体重を維持する:肥満を防ぎ、膵臓への負担を軽減しましょう。
- 定期検診を受ける:家族歴がある場合や膵炎の既往がある場合は、早期発見のために定期的な検査を受けましょう。
膵臓の不調でお悩みの方へ
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